トレーラーハウスの応急仮設住宅|能登半島地震の30戸と災害対応車両登録制度
| 工法 | 戸数 | 時点・出典 |
|---|---|---|
| ムービングハウス | 469戸 | 2024年7月23日時点・内閣府 |
| トレーラーハウス | 30戸 | 2024年7月23日時点・内閣府 |
| プレハブ | 4,573戸 | 2024年7月23日時点・内閣府 |
| 木造等 | 1,655戸 | 2024年7月23日時点・内閣府 |
| (4工法の合計) | 6,727戸 | 上の4つを編集部が合計した時点値 |
| 地震分の最終総数 | 6,882戸(159団地) | 全戸完成・石川県 |
| 奥能登豪雨分を含む整備総数 | 7,168戸 | 地震6,882戸+豪雨286戸・石川県 |
能登ではトレーラーハウスは全体の1%に満たない
2024年7月23日時点の4工法の合計6,727戸のうち、トレーラーハウスの30戸は約0.4%です。この時点の合計は、最終的な地震分の総数6,882戸とは一致しません。工法別の最終的な内訳は、今回確認した資料には出ていませんでした。
数は少ないものの、団地としての実例はあります。石川県土木部建築住宅課の資料は、トレーラーハウスの応急仮設住宅(RV・TH協会)の事例として志賀町の「とぎ第1団地」を、ムービングハウス(MH協会)については輪島市の「マリンタウン第1団地」と同じ構造の事例を載せています。内閣府の資料にも、志賀町「旧JA志賀富来支店駐車場(2月20日完成)」などの団地名が写真付きで並んでいます。団地ごとの戸数は、どちらの資料からも読み取れませんでした。
内閣府は同じ資料で、トレーラーハウス・ムービングハウス・コンテナハウスなどの「移動型車両等」が、被災者の住まいのほか、災害対応にあたる人の宿泊場所、トイレ、医療や食事の提供に有効に使われたと振り返っています。一方で、使えるストックがどこにどれだけあるかを国が把握しておらず、関係事業者に都度確認する「場当たり的」な対応になった面があったとも書いています。
長野県では令和元年の台風で115戸中15戸がトレーラーハウス
トレーラーハウスの応急仮設住宅は能登が初めてではありません。長野県の応急仮設住宅建設マニュアルには、令和元年東日本台風で建てた115戸の内訳が載っています。
| 災害 | 場所 | トレーラーハウス等の戸数 | 全体 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 令和元年東日本台風(2019年) | 長野県 | トレーラーハウス15戸 | 115戸(プレハブ45戸・木造55戸・トレーラーハウス15戸) | 長野県 応急仮設住宅建設マニュアル |
| 能登半島地震(2024年) | 石川県(志賀町とぎ第1団地など) | トレーラーハウス30戸(2024年7月23日時点) | 地震分6,882戸(最終) | 内閣府・石川県 |
| 2025年8月の大雨 | 熊本県上天草市 | ムービングハウス10戸分 | — | 内閣府(災害対応車両登録制度の初の活用) |
長野県の例では、115戸のうち約13%がトレーラーハウスでした。能登の約0.4%と比べると割合はかなり大きく、災害の規模や、そのときすぐ動かせる台数で使われ方が変わることがうかがえます。
災害対応車両登録制度:平時に登録し、被災自治体が「D-TRACE」で探す
内閣府(防災担当)は2025年6月1日に「災害対応車両登録制度」を施行しました(運用開始は同月中)。トレーラーハウスやムービングハウスなどを平時のうちに登録しておき、災害が起きたら被災した自治体が検索システム「D-TRACE」で探して、事業者と個別に調整する仕組みです。制度の骨格は告示「災害対応車両等登録規程」で定められています。
災害救助法が適用される災害では、被災自治体が負担した費用を国(内閣総理大臣)が災害救助法に基づいて負担し、内閣府の資料の図には「最大90%」と注記されています。負担割合の細かい決まりは災害救助法の国庫負担の仕組みによるもので、この資料だけでは自治体ごとの実際の割合までは分かりません。
初めて使われたのは2025年8月の大雨で被災した熊本県上天草市です。制度に登録された「災害対応車両調整法人」の日本ムービングハウス協会が派遣するムービングハウスで、応急仮設住宅10戸分が整備されることになりました。2025年10月の内閣府の発表では、これが制度開始後初めての事例とされています。
登録されている法人数や台数については、内閣府の一次資料で確かめられる数字が見つかりませんでした。報道などで見かける数字は、この記事では使っていません。
応急仮設住宅は建築基準法85条で手続きが緩められる
災害のときに建てる仮設の建物には、建築基準法第85条の特例があります。トレーラーハウスが建築物として扱われるかどうかとは別に、仮設住宅として建物を建てる側の決まりとして押さえておくと、自治体や事業者とのやりとりが分かりやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象(第1項) | 非常災害区域等で、国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建てるもの/被災者が自ら使うための延べ30㎡以内のもの |
| 着工の期限 | 災害が起きた日から1か月以内に着工すれば、建築基準法令の規定は適用されない(防火地域を除く) |
| 3か月を超えて残す場合 | 特定行政庁の許可が必要。許可は2年以内の期間 |
| さらに延長する場合 | 被災者向けの建物が足りないなどの事情があれば、1年以内ずつ延長できる |
工事現場の事務所など、災害とは別の仮設建築物の扱い(同条第2項)はトレーラーハウスを事務所にする費用と手続きで、トレーラーハウスが建築物になる条件そのものはトレーラーハウスと建築基準法で扱っています。
事業者・自治体にとっての意味
トレーラーハウスを持つ事業者にとって、登録制度は平時の在庫や貸出用の車両を災害時の供給力として名乗り出る手段になります。自治体にとっては、能登で起きた「どこに何台あるか分からない」という状態を減らす道具です。ただ、これまでの実績はプレハブや木造が中心で、トレーラーハウスは能登で30戸(2024年7月23日時点)、長野で15戸という規模でした。制度ができたことで使われる場面が増えるかどうかは、登録数と、実際の災害での使われ方を見ていく必要があります。
なお、財務省の調査としてトレーラーハウスの工期や単価をプレハブと比べた数字が報道されていますが、財務省の一次資料は確認できなかったため、この記事では扱っていません。トレーラーハウスそのものの仕組みや、車両として扱われる条件はトレーラーハウスとは?で確認できます。
よくある質問
この記事の戸数と制度は、2026年11月4日に内閣府・石川県・長野県の公表資料とe-Gov法令検索で確認した内容です。制度の運用は変わることがあるため、最新の情報は内閣府(防災担当)の公表資料で確かめてください。
