トレーラーハウスで宿泊施設を開業する|旅館業法・民泊の基準とグランピングの手続き
| 項目 | 旅館業(簡易宿所) | 住宅宿泊事業(民泊) |
|---|---|---|
| 営業できる日数 | 日数の上限の規定なし(180日は民泊の決まり) | 1年間で180日まで |
| 面積・設備 | 客室の延床面積33㎡以上(10人未満なら3.3㎡×人数)。換気・採光・照明・防湿・排水、入浴・洗面設備、便所 | 台所・浴室・便所・洗面設備(台所にはシンクが必要) |
| 建物の条件 | 自治体の判断による(木更津市は旅館業の施設を建築物として扱う) | 生活の本拠・入居者募集中・随時居住のいずれかの家屋 |
| トレーラーハウスの扱い | 宿泊料を受けて泊める営業の実態があれば対象になる場合がある | 土地に定着していれば家屋に該当しうる。住宅にあたるかは個別判断 |
宿泊料を取るなら旅館業法の対象になりうる
旅館業は、施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業です。観光庁の住宅宿泊事業法FAQ(令和3年3月12日時点版)は、トレーラーハウスについて、その実態が施設を設け宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を営んでいる場合は、旅館業法の適用対象として扱われる場合があると書いています。車両だから旅館業法の外、とはなりません。
グランピング施設やキャンプ場の宿泊棟としてトレーラーハウスを並べる形も、宿泊料を受けて泊めるなら同じです。テントサウナなど付帯設備の扱いはトレーラーハウスでサウナを営業するで取り上げています。
簡易宿所の面積基準:33㎡と「3.3㎡×人数」
旅館業法施行令は、簡易宿所営業の客室の延床面積を33㎡以上と定めています。ただし許可の申請で宿泊者の数を10人未満とする場合は、3.3㎡に宿泊者の数を掛けた面積以上でよいとされています。4人なら13.2㎡です。
設備では、換気・採光・照明・防湿・排水の設備、入浴設備(近くに公衆浴場があるなど入浴に支障がない場合を除く)、洗面設備、適当な数の便所が求められ、さらに都道府県の条例の基準にも合わせる必要があります。トレーラーハウスに浴室を持たせない場合、近くの公衆浴場などの扱いは保健所の判断です。
では、1台のトレーラーハウスで何人まで申請できる計算になるか。公開されている外寸から面積を出し、3.3㎡で割ってみました。客室の延床面積は一般に室内の面積で見るため、外寸から出した面積より小さくなると考えておくのが安全です。数え方は保健所に確かめてください。
| モデル(メーカー) | 外寸 | 外寸からの面積 | 3.3㎡で割った人数の目安 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| H07(ジャパントレーラーファクトリー) | 7.2m×2.4m | 17.28㎡ | 5人 | 本体632万円〜(税抜) |
| クイーン Q1034(カンバーランド・ジャパン) | 10m×3.4m | 34㎡ | 外寸では33㎡を上回る(内法・水回りを除くと下回るおそれ) | 1,298万円(税込) |
| LJ11000(ルクラ) | 11m×3.2m | 35.2㎡ | 外寸では33㎡を上回る(内法・水回りを除くと下回るおそれ) | 本体473万円(税込)、宿泊タイプ参考850万〜1,000万円(税込) |
10人未満の上限の9人で計算すると3.3㎡×9人で29.7㎡が必要です。幅2.4m前後の小型1台では、外寸で見ても数人規模が限度になります。ルクラは宿泊タイプの参考販売価格を税込850万〜1,000万円とし、運搬設置費は別としています。価格の一覧はトレーラーハウスの価格相場にまとめています。
旅館業の施設は建築物として扱う自治体がある
旅館業の許可を取るなら、建築基準法の扱いも同時に考えます。木更津市は、ホテル・旅館業の施設の設置場所のように、他の法令で特定の住所が必要になるトレーラーハウス等を建築基準法上の「建築物」として扱うと公表しています。宿泊施設として許可を取る計画なら、自治体によっては建築物として建築確認を求められる、と見ておくのが安全です。
建築物と判断されれば、用途地域や市街化調整区域の制限もかかります。調整区域のキャンプ場に並べる計画は、とくに先に確かめる必要があります。土地ごとの判断はトレーラーハウスを置ける土地・置けない土地、建築物になる条件はトレーラーハウスと建築基準法で整理しています。
民泊(住宅宿泊事業)でトレーラーハウスを使う条件
住宅宿泊事業法による民泊は、人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないものに限られます。算定は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までで、自治体の条例でさらに制限されることがあります。対象になる「住宅」には台所・浴室・便所・洗面設備がそろっていることが必要で、観光庁のFAQは台所にシンクが必要としています。
トレーラーハウスについて観光庁のFAQは、土地に定着している状態であれば屋根と壁をもつので、法律上の家屋に該当しうるとしています。住宅にあたるかは、設備と居住の要件を満たすかで個別に判断されます。居住の要件は、現に生活の本拠として使われている家屋、入居者を募集している家屋、所有者などが随時住んでいる家屋のいずれかで、民泊専用の物件は要件に当たらないとされています。
民泊でトレーラーハウスを使える可能性があるのは、「土地に定着した家屋で、水回りがそろい、誰かが住まいとして使っている」場合です。車両として随時移動できる状態のままでは家屋に当たらない可能性があり、民泊専用の物件は居住の要件に当たりません。
相談の窓口は建築・消防・保健所
日本トレーラーハウス協会(JTHA)は、トレーラーハウスで旅館業法のホテル営業の許可を取る場合、設置場所を所管する建築行政・消防署・保健所の3か所の許可が関わると説明しています。保健所は旅館業の許可、建築行政は建築物かどうかと建築確認を扱い、消防の設備や届出は消防署に確認します。
| 窓口 | 確かめること |
|---|---|
| 建築行政(市町村・特定行政庁) | 建築物として扱うか、建築確認の要否、用途地域・市街化調整区域で置けるか |
| 保健所 | 旅館業(簡易宿所など)の許可、客室面積の数え方、入浴・洗面・便所の基準、条例の上乗せ |
| 消防署 | 消防設備や届出の要否 |
よくある質問
宿泊施設は面積・設備・建築の扱いがすべてそろって初めて開業できるので、台数や配置を決める前に3つの窓口へ同じ計画を見せておくのが確実です。この記事の制度・価格は2026年11月4日に各公式ページで確認しました。最新の内容は各自治体・各社の公式情報で確かめてください。
